HOME

子供の情景

子供時代というと私の中では、思春期にさしあたる12歳ぐらいまでの頃を思い浮かべます。
時間が永遠に続くとも思われた時代。哀しみも切なさも、小さなドラマのワンシーンのようにくっきりと残っています。

子供の情景。
懐かしくなったり、胸がキュンとなったり、時にはチクチクと痛むことも……

ここで紹介する本は、どれもが心に眠る想い出の数々を呼び覚ましてくれます。

キーワード:テーマ別、本の感想、子供の情景、遠い日のノスタルジア

ニライカナイの空で
著者:上野哲也

父の突然の破産によって、東京を離れひとり九州の炭坑町へ向かう新一。待ち構えていたのは、父のかつての戦友・野上源一郎だった。鬼のような怖い形相に震え上がり、先の事を思い不安にかられる新一だったが、源一郎の息子・竹雄や、優しいおばさん、田川で出会う様々な人とのふれあいの中でたくましく成長していく。

ミーナの行進
著者:小川洋子

朋子は小学校卒業後、叔母の住む芦屋の洋館で一年間を過ごす。一歳年下で従妹のミーナ、飲料会社社長のハンサムな伯父さん、叔母さん、ドイツ人のローザおばあさん、お手伝いの米田さんなど、大家族の中で暮らす様子を朋子の視点から描いた作品です。

黒蜜
著者:小池昌代

子供の世界を描いた14編のお話です。 子供時代というのは、もどかしい。好きな所にスイスイ泳いでいけるのではなく、流れの速い川に、有無を言わせず飲み込まれ、勝手に進んでいく。途中、岩や木の枝をみつけては、必死に手を伸ばし、なんとか流れを止めようとするのだけど自分の力ではどうにもならない。

晩年の子供
著者:山田詠美

子供時代、たくさんのものを見つけ、失い、憂愁を感じていた。絶望も希望も記憶として残っているのだけど、当時の自分の中では無自覚だったと思う。この小説は、子供の頃の心の襞を、繊細に紡いだ8つの短編集です。

すいかの匂い
著者:江國香織

子供の頃の夏の記憶、忘れられないずっと色濃く残っている秘密にしていたいこと。11人の少女たちのそんなかけがえのない物語。 大人にはわからないけれど子供には子供の世界がある。表現する言葉がないだけ。無知だったから。時には残酷なこともする。 楽しい思い出とも違う。辛いでも悲しいでも、うれしいでもない。

信さん
著者:辻内智貴

都会で暮らす「私」は久しぶりに故郷である炭鉱の町に帰ってくる。 母と話をするうち、少年だった小学校時代を思い出す。 空をみあげながら、信さんとの思い出の数々を蘇らせ、1枚のスナップ写真のように見上げる青空に貼りとめていく。 信さんは「私」にたくさんの無形の財産のようなものを残していく。

銀の匙
著者:中勘助

子供時代を思い浮かべる時、当時の断片的な記憶や、その時感じたことは覚えていても、それをみつめる大人になった自分の視点がどうしても入り込んでしまうものだと思う。だがこの作品にはそれが感じられない。まっすぐな子供だけの目線で、鮮やかに語られている。

首飾り
著者:雨森零

秋(しゅう)と僕(れい)となな。二人の少年と一人の少女は、山あいの小学校分校で無邪気に過ごしていた。思春期になり、成長するにつれ奇妙な三角関係へと変わっていく。山、湖、森など豊かな自然描写と感情の揺らめきが美しい作品です。

真夜中のパーティー
著者:フィリパ・ピアス

謎めいたお隣さん。宝物の秘密の貝。子どもの日常生活におきる、小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々。夢と現実の世界を行き来する印象的な8つの短編をおさめる。 (裏表紙より)

花まんま
著者:朱川湊人

40年代の大阪の下町を舞台にした作品です。40年代を知らない私でも、懐かしさが込み上げてきて、いつのまにか子供時代に帰ってしまいました。 ジャンルでいうと、ホラーとかファンタジーになると思いますが、6つの短編のどれもが、同じ感覚を味わった事があり、子供の目線で大人をみている自分に気がつきます。

↑ページTOPへ

HOME
inserted by FC2 system