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遊女・芸者

遊廓や花柳界での暮らしぶりやしきたりは、非日常的で興味深い。そして哀しい境遇でも、希望を失わず凛と生きる人は美しい。

遊廓の中でも特に遊女が主人公のもので、悲恋だとか切なさがじわじわと染み入るような本が好きです。

「あちき」「〜でありんす」「〜なんし」
こんな廓詞(くるわことば)が色っぽくて風情が感じられます。

キーワード:小説、本の感想、遊女・芸者、花魁、舞台


遊女

甘露梅―お針子おとせ吉原春秋
著者:宇江佐真理

岡っ引きの夫に先立たれた町家の女房、おとせ。時を同じくして息子が嫁を迎えたため、自分は手狭な家を出ることに。吉原で住み込みのお針子となったおとせの前には、遊女たちの痛切な生の営みがあった。さまざまな恋模様、その矜持と悲哀。そして自身にもほのかな思いが兆しはじめ…。今宵ひと夜の夢をのせて、吉原の四季はめぐる。哀切の傑作時代小説。

漂砂のうたう
著者:木内昇

明治10年、舞台は根津遊廓の美仙楼。立番(客引き)をする定九郎の視点から描かれたこの作品は、行き場のない空しさ、足場のない浮遊感が全編に漂っている。まげを切り、洋服を着る習慣が広まり、武士は必要なくなり、娼妓解放令が出された。江戸から明治へと移り変わっていく時代の空気が色濃く出ています。

手のひら、ひらひら―江戸吉原七色彩
著者:志川節子

吉原を舞台にした連作短編集です。遊女よりも、むしろそれをとりまく人々が数多く登場します。閨房の秘技を躾け、妓を遊女に仕立て上げる上ゲ屋、年季を重ねてなまってきた妓の錆をとり、心身の張りを保つ術を仕込む保チ屋、妓の心を見張り、間夫の芽を絶つ目付など、裏稼業の男衆が出てくるのが興味深い。

花宵道中
著者:宮木あや子

江戸の吉原を舞台に遊女たちの悲恋を綴った物語です。5編からなる連作短編になっていて、最初脇役だった人が主役になったりして、人物のつながりや生い立ちがみえてくる。遊郭のしきたりや、暮らしぶり、女同士の友情、男女の交わりなど細やかに描かれています。

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芸者

芝桜(上)
著者:有吉佐和子
このシリーズは全2巻あります。

花柳界を舞台に、二人の芸者の人生模様を三十年もの歳月の中に描いた作品です。 雛妓の頃から一緒だった正子と嶌代。実直で勝気、男に身を委ね贅沢な暮らしをさせてもらいながらも、そこに溺れることなく幸せな結婚を夢見る正子。金のためなら相手を選ばず次々に男をかえ、世話を焼くフリをしながら相手をいいくるめ思いのままにしてしまう嶌代。

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