HOME

宇江佐真理作品

甘露梅―お針子おとせ吉原春秋

甘露梅―お針子おとせ吉原春秋/宇江佐真理 著


岡っ引きの夫に先立たれた町家の女房、おとせ。時を同じくして息子が嫁を迎えたため、自分は手狭な家を出ることに。吉原で住み込みのお針子となったおとせの前には、遊女たちの痛切な生の営みがあった。さまざまな恋模様、その矜持と悲哀。そして自身にもほのかな思いが兆しはじめ…。今宵ひと夜の夢をのせて、吉原の四季はめぐる。哀切の傑作時代小説。(「BOOK」データベースより)

町家の女房からみた吉原という世界。お針子が主人公なので遊女や妓夫、振袖新造など外側からみた視点が新鮮です。おとせさんは、とてもおせっかいなんだけど、情が熱く、憎めない人です。最初は疎ましく思っていたけれど、だんだん好きになってしまった。最後の決断が胸に響いたし、おとせさんがとても可愛い存在に思えた。

吉原の季節の催しや四季の風情を楽しみながら様々な人間模様を覗けます。儚い恋、芽生え始めた恋、秘める恋。叶うはずがないと知っていながらも止められない熱い想い。哀しい結末が待っているとわかっていても願わずにはいられない。そして結ばれなかった彼らのためにもおとせさんには幸せになって欲しいと思うのです。

薄情な人間がいる一方で律儀で心優しい人間もいる。甘露梅を漬けるところなど昼のほのぼのした風景もあるし、自分の運命を受け入れ、たくましく生きようとする人もいる。どっしりと胸に響くような出来事はないけれど、さわやかな余韻が残ります。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[歴史・時代小説]
→テーマ別[遊女・芸者]


★詳細・注文Amazon.co.jp楽天ブックスhonto
↑ページTOPへ
HOME
inserted by FC2 system