黄色い雨 | |
アイニェーリェ村と呼ばれる小さな村の過疎化。
村人がどんどんいなくなり「私」は1人取り残される。
忘れられた村、だんだんと朽ち果てて崩壊する村、沈黙と静寂に包まれ、「私」は
孤独になっていく。
たった1人で誰もいない世界で1人きりになると、自分の内面を見つめざるを得く なるのかもしれません。 この静かな世界では、言葉すら沈黙の中に飲み込まれ、かき消されてしまいそう。 雪の降る音、「私」の息遣いまでも聞こえてきそう。
窓からみる景色も部屋の中も、何も変わらない。過去の記憶と思い出に浸って毎日を過ごす。
時間の感覚はなくなり、後は死を待つだけ。
作品全体に喪失感・悲しみが漂い、「私」の思いは、空気の中、村全体に溶け込んでいるかのよう。
生きているばずの肉体をもった生ではなく、肉体から離れた魂が空中で浮遊しているような気すらしてしまうのです。
絶望的で暗い話ですが、哀愁漂う繊細な描写、詩のように美しく書かれた村の様子に、すっかり魅了されたのでした。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[詩的な小説]/
[世界の終末]