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シュティフター作品

水晶他三篇石さまざま

水晶 他三篇 石さまざま/シュティフター 著


『水晶』『みかげ石』『石灰石』『石乳』の4編の物語が収められています。
どれも、田舎に住む自然を舞台にした、とても心温まるお話です。

1番好きなのが、『水晶』
小さな村にひっそりと暮らす人達と、四季の移り変わりの自然描写、教会の鐘が、真夜中の空気に響き渡る様子など、その中に佇んでいるかのように、情景が目に浮かぶ。
クリスマスが近づき、暖炉が暖かに燃えている部屋、いつもよりちょっと豪華なご馳走、たくさんの人達が集まって、窓の外の景色をみながら語り合う。
クリスマスの贈り物が渡され、たくさんの蝋燭が灯される。 そこに暮らす人々の暖かな眼差しと、クリスマスを心待ちにしている様子に、胸の中がほっこりとなる。

クリスマスの前日、コンラートとザンナの兄妹は、となり町に住む祖母の家に 遊びにいくのですが、その帰り道、迷ってしまう。 激しい雪で、数歩先さえみえない中、ひたすら歩き続けます。
山を下りたいのに、行き止まりだったり、急斜面だったりして、知らないうちに、どんどん登っていってしまうのです。
氷の洞窟で夜明けを迎えるのですが、その情景に、ただただ圧倒されます。 辺り一面が雪景色だったのが、暗くなり星々が光りだして、だんだんと明るくなるにつれて、少しずつ星が消えていく様子がとってもキレイ。

壮大な自然に囲まれ、けなげに歩き続ける兄妹。 自然はただそこにあり、美しいが、脅威にもなる。 人々は助け合い、支えあい、ささやかに日々を送る。
しとしとと、音もなく降り続ける雪のように、私の心の中にも、静謐で穏やかなものがじわじわと広がる。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[美しい風景描写]


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