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ローデンバック作品

死都ブリュージュ

死都ブリュージュ/ローデンバック 著


妻に先立たれたユーグは、ブリュージュに移り住む。 悲しみにくれるユーグにとって、この憂愁漂うブリュージュは、静かに妻との思い出に浸れる場所。
部屋には妻の所持品、肖像画など思い出の品がたくさん溢れている。
その中でも大事にしているのが、髪の毛です。 彼にとってこの髪の毛は妻そのもの。透明なガラスの容器に入れ、いつでもみえるようにしておく。

そんなユーグの心像を象徴するかのように、ブリュージュがひとつの意思を持った 人格のようにみえてくるのです。
ひとけのない運河、協会の建ちならぶ界隈、古い家屋、岸辺のポプラの青葉。 これらがユーグと共鳴しあい、静寂を生み、哀愁がただよい、溢れ、ひろがっていく。
ユーグは、この街を歩きながら亡き妻との止まった時間を過ごしているのです。
過去を生き、死んだ時間を生き続けるユーグ。ブリュージュも、灰色の霧の中に浮かぶ夢幻的な空間を思わせます。

ある日、突然現れた亡き妻そっくりのジャーヌ。 姿や形だけでなく、表情、声、眼差しもそっくり。まったく別の人格なのに、どっ ぷりとはまり、その中に妻の幻影をみようとする。
だけどジャーヌは妻とは違って身持ちのよくない女性でした。
そして最後におこる悲劇……
ひとつひとつの文章が、詩のように美しく素敵な作品です。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[詩的な小説]


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