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バーニス・ルーベンス作品

スプリング・ソナタ

スプリング・ソナタ/バーニス・ルーベンス 著


バスターは4年もの長い間、生まれ出ることを拒んだ。 バスターに何があったのか。
母であるシーラの胎内で物音がすると聞き耳をたてる。バスターは新しく家族になる人がどんな人なのかじっくり窺っているのだ。
バスターは前世での記憶もある。ヴァイオリニストになるために生まれてきた。
ときおり手足を伸ばしたり、指の長さを確認し成長を心待ちにしている。 そんなバスターが愛くるしい。 生まれ出ることを、今か今かと待ち望んでいる様子が、独白からありありと伝わってくる。

シーラの弾くピアノの音色にうっとりするバスター。 自分も早くバイオリンを弾きたい。希望に満ち溢れ、生き生きとしている。
だが、外から聞こえてくる音は、いがみあい、憎しみあい、冷たい言葉の数々。 あけっぴろげで、毒々しい言葉に、思わず目を覆いたくなる瞬間がいくつもありました。
シーラは生まれる前から子供に過剰な期待をし、自分の思うままに育てようとして いるのです。

胎内という、内側から様子を窺うバスターの描写により、家族やそれを取り巻く人 々を、こっそり覗き見しているような気持ちになります。
胎内にあった日記、バイオリン、異常なほど大きくなったシーラのお腹。
歩行も困難になり、それでも生まれでてくることを待ち続けるシーラ。
不思議で奇妙なこの物語は、それだけでなく、人間の愚かさ、傲慢さもしっかりと 伝えています。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]


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