ぼくは怖くない | |
その夏、ぼくは廃屋の裏で隠し穴を見つけた。中には鎖に繋がれた男の子が!彼は誰?なぜ ここに?痩せ細った姿に同情し、食物を差し入れし始めたぼくを彼は天使だと言う。同じ 頃、大好きなパパが出稼ぎから帰ってきた。以来、怪しい男たちが家に出入りするように なる。ある日、ふと目にしたニュースで、ぼくは自分の身辺で進行する恐ろしい犯罪に気 づくが…少年ミケーレの友情と葛藤を描くヴィアレッジョ賞受賞作。 (裏表紙より)
一面に広がる麦畑に、ぎらぎらと照りつける太陽。その向こうには丘がありそれを包み込 むように大きな青空が広がっている。乾いた風や空気がこちらにまで伝わってきそうです。 虫の音、生い茂った植物、主人公であるミケーレ少年のみるものが目の前にパッと浮かび 一緒に体感しているかのようです。
廃屋の隠し穴で男の子をみつけてからミケーレは何度も足を運ぶ。痩せ細った身体、真っ 黒に汚れた肌、まぶたを閉じたまま近寄ってくる様子は心臓がバクバクし、とても怖い。
その頃から大人達の様子がなにやらおかしくて・・・・・・一貫してミケーレの視点から描か れているので、何が起こっているのかはわかりませんが、何か隠していて重大なことが 起こりそうな予感にハラハラするのです。
大人達の怒鳴り声に不快な物音。いつからか大好きだったパパの存在も疑惑へと変わって
いく。はっきりとしたことはわからないけれど何かが変だと・・・・・・
歪んでいる大人達がいて残酷さも描かれているのだけど、ミケーレの真直ぐな心と勇気が
眩しく印象的でした。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[美しい風景描写]