とける、とろける | |
予期せぬ恋に落ちてしまった人妻理佐。誰にも内緒の素敵な恋人をもつ千寿。年下の同僚 に恋してしまった正子etc.9人の女たちの秘められた切ない性愛を描く、著者初の恋愛官 能小説集。(「BOOK」データベースより)
性愛のシーンがいっぱいのこの本はタイトル通り、とろける作品である。女性にしかわか らないあの感覚、とろけた先の満ちたりた高揚感。時には淫靡な魔法をかけて、気持ちを 作りこむ夜。女性なら誰もが納得してしまうようなリアルな描写がいっぱいです。
でも、読後はヒヤリとした感触が残り、ホラー映画をみた後のように、ただ怖いと思って
しまった。欲望は叶えられても、時が経過するとまた欲しくなる。もっともっとと切望す
るうちに常軌を逸してしまうのだから。
嫉妬や、ひがみ、表面上は仲良くやってても、心ではまったく別のことを考えてたりする
女性の嫌な部分も描かれているので、そっちのほうが目についた。
狂愛へと変わり、幻想をみるようにもなり、快楽の向こう側には、破滅しかない。死を予 感させるような終わり方もあまり好きではない。性愛を描くならもっと希望のあるもの、 気持ちを潤わせてくれるようなものを読んでみたかった。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[恋愛小説]
→テーマ別[エロティック]