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富安陽子作品

キツネ山の夏休み

キツネ山の夏休み/富安陽子 著


夏の輝きを描いたファンタジー。108ぴきの伝説のキツネたちに守られている稲荷山の町。その町ですごした弥の夏は、光と風と不思議でいっぱい。著者自らが挿絵も手がけた作品。大切な夏休みのひとときの思い出。(「MARC」データベースより)

山に囲まれ、セミの大合唱、竹林の向こうにある瓦屋根の家。長い縁側に畳の匂い、シーンとした静けさ。小学校の夏休みを過ごすならば、こんな田舎で過ごしてみたい。

夏の情景がたくさん描かれているのだけど、暑さは感じられない。木の匂いを含んだ爽やかな風とか、風に乗って空を飛ぶ場面が印象的で、爽快感たっぷり、涼しさを運んできてくれます。

竹林、雑木林、そまみち、神社、長い石段、石のキツネの行列。こんな空間がもう、何か出てきそうな予感を秘めていて、妖怪が出てきても、ちっとも不思議じゃないような気がします。むしろ馴染んでいて、ネコやキツネがしゃべっていてもそんなこともあるかもと思わせる素敵な町でした。

縁日が始まる前のソワソワした気持ち。太鼓が鳴り響いた時の胸の高鳴り。普段は静かな町に、いつのまにか集まった大勢の人だかり。キラキラした夏の思い出がいっぱい詰まっていて懐かしいです。

虫とり網と、かごを持って一日中走り回っていたあの一日。無心で追いかけていた。夏をめいっぱい感じていた。強い陽射しが弱まり、いつしか現れた夕焼け雲。もう一日が終わってしまったという心がキュンとする寂しさ。

夏はこれからも訪れるけれど、同じ場所、同じ風景を眺めていても、この夏は一度だけのもの。虫や鳥の鳴き声は情緒があるし、お祭りや花火など、賑やかで楽しいイベントがいっぱいのこの季節が、私は大好きです。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[児童文学・絵本]
→テーマ別[夏休み]


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