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荻原浩作品

さよならバースディ

さよならバースディ/荻原浩 著


霊長類研究センター。猿のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始 者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実 験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を 投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。愛を失う哀しみと、学 会の不条理に翻弄される研究者を描く、長編ミステリー。(裏表紙より)

バースディと人間とのコミュニケーションが場を和ませてくれます。愛らしい表情やしぐ さ、大好物のレーズンバターをうれしそうに食べている姿が、とても微笑ましく思えました。
コミュニケーションの仕方は、人間が問いかけることに対して、特別なキーボードを使っ て会話をするというもの。習得した言語は100語ほど。少ない中からバースディなりの発想で、単語と単語を つなぎ合わせ、バースディ特有の言語ができてしまうというところがよくできていると 思います。

真が由紀にプロポーズした夜に、突然の由紀の自殺。由紀は本当に自殺したのだろうか。 それとも事故?殺人?目撃者はその場にいたバースディだけ。聞き出そうとするのだけ ど、時間の概念もなく、バースディの知ってる言語だけでは、上手く質問もできない。 ひたむきに真実を求めるその姿に、真の想いの深さ、哀しみが伝わってきます。

単語を並べただけの非常に短い言葉の中に、ぐっと濃縮された想い。単純で簡単な言葉 だからこそ、ストレートに心に刺さることもある。一語がとても重いのだ。
体調を崩しながらも、真の問いに必死に耳を傾けるバースディにけなげさを感じ、最後 に発した言葉が、切なく胸を打つ。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[医療サスペンス][動物]


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