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和田秀樹作品

テレビの大罪

テレビの大罪 /和田秀樹 著


あなたはテレビに殺される。運よく命まで奪われなくとも、見れば見るほど心身の健康と知性が損なわれること間違いなし。「『命を大切に』報道が医療を潰す」「元ヤンキーに教育を語らせる愚」「自殺報道が自殺をつくる」―。精神科医として、教育関係者として、父親としての視点から、テレビが与える甚大な損害について縦横に考察。蔓延する「テレビ的思考」を精神分析してみれば、すべての元凶が見えてきた。 (「BOOK」データベースより)

家に帰ると音がないと寂しいという理由でテレビをつけ、何の目的もなくダラダラみてしまう人は多いと思う。テレビを見るのは受動的な行動です。雑誌や新聞、ラジオなど他のメディアも色々あるが、テレビという存在がいちばん人に影響を与えているといえる。

以前からテレビには漠然とした違和感を持っていた。おかしな価値観を押し付けようとしているとか、どちらかに誘導しようとしているとか、とにかくこちらが一旦取り込み考える隙を与えないようにしているのではと思えてならないのである。

この本は、そんな漠然とした違和感を明確な形で示してくれる。「医療」「自殺報道」「地方」「高齢者」など具体的な事例をあげながら書かれていて、特に精神科医としての視点で書かれた「ウエスト58cm幻想」が勉強になった。

やせ願望による拒食症、過度なダイエットは子宮の形成不全ひいては不妊の原因にもなること、中年期の痩せは寿命を縮めるということ。「痩せ過ぎが美しい」という間違った報道は特に中高生に深刻な影響を及ぼしている。

某健康番組での不安を誘発するBGMや効果音。犯罪者を過剰なまでに極悪人として感情的に訴える手法。特例をさも一般的であるかのように演出したり、東京目線での制作などおかしなところがたくさんあります。健康番組では数万人に1人という珍しい病気を取り上げたりせず、まずはうつやアルコール依存症についてきちんと伝えるほうが先だと著者は言っている。

本文にもある通り、敵か味方か、満点か0点、善人か悪人、薬か毒、世の中はそんな単純にできてはおらずもっと複雑なものです。テレビを疑いもせず、すべて鵜呑みにしてしまう人は、思考回路そのものが単純化された人といえます。
また「怒り」「不安」こういったものを抱えながらテレビをみることにより、より刺激されてしまうこともあります。

最近テレビがつまらなくなったとか、テレビに不信感を持っている人、テレビ好きな人にもぜひ読んで欲しい。この本はテレビとどう付き合っていくかを改めて考えさせてくれる。

→著者別[ノンフィクション]
→ジャンル別[エッセイ・ノンフィクション]
→テーマ別[モチーフ]


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