たかぎなおこ作品／にこの読書生活

上京はしたけれど。／たかぎなおこ著

イラストレーターを目指して、三重県から上京してきた著者によるエッセイです。
複雑な路線図、寿司工場でのバイト、貧乏で洋服が買えなかったり、キャッチに引っかかったり。華やかな東京生活での、驚き、とまどい、不安、期待などが描かれています。

私も地方から東京に出てきたので、たくさん共感できる部分があり、その時の自分を懐かしく思い出します。それまでの私は、毎日ただ流されて過ごし、無駄な時間を過ごしていたような気がします。東京に来てからは、不安は多かったけど、みるものすべてが新鮮で、期待や憧れはいっぱいありました。

何かみつけなきゃ、変わりたい、不安から抜け出したいと思いながらも、何をしたらいいのかわからない。本当の意味で孤独になった時、やっと自分と向き合えたような気がします。今は田舎のよさも都会のよさも、よくわかるので、こっちにきて本当によかったと思っています。

たくさんのエピソードに、泣けてきたり、笑ったり、しんみりしたり。重くならず、可愛いイラストでサラリと書かれている気軽に読めるエッセイです。