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ジョン・チーヴァー作品

橋の上の天使

橋の上の天使/ジョン・チーヴァー 著


穏やかな日常風景、妻がいる、子供がいる、安定した生活、家もある。 外側からみれば問題なく、ごく普通にみえる平凡な人々。
幸せそうにみえるようでいて、実は心の奥底に誰にも言えないような孤独が潜んでいる。
抑制された文章で静かに語られながら、主人公が気づいてもいないような奥深くに 眠っている何かを噴出させる。

15の短編集のうち、ほとんどが成熟期を迎えた主人公です。
郊外の住宅地、近所の人との付き合い、親としての振る舞い、夫としての勤め、大 人として紳士的にスマートに振舞わなければならない。 上手くいっているようにみえるのは、彼らが努力しているから。

歳を重ねれば、重ねるほど、塵のように小さなものが降り積もってくる。 はじめは小さなものでも、長い年月によって蓄積されたものは、もはや消えること はない。
本人は気づいているのか、自覚がないのか、はたまたみないようにしているのか。 そうしなければ生活が進まないから。

ゆったりと流れてに浸っているつもりが、小さな出来事によって、荒い流れに押し流 されてしまう。 その荒い流れ(自分の中の蓄積されたもの)が受け入れられず、俯瞰した視点で今までいた日常を眺めている。
一度遠く離れて日常を眺めた後、再び日常に戻ると、風景がガラリと変わる。 色が変わる。受け止め方が違ってくる。 そんな内面を精妙に描いた作品です。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]


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