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ローランス・タルデュー作品

すべては消えゆくのだから

すべては消えゆくのだから/ローランス・タルデュー 著


「ヴァンサン、私はもうすぐ死ぬの、会いにきて、もう一度だけ……」 別れた妻ジュヌヴィエーヴからこんな手紙をもらい、猛スピードで車を運転している ところから物語は始まる。
かつて愛し合っていた2人。たくさんの想い出。深く結びついていたはずなのに、一 人娘のクララを襲ったある事件により、2人の距離は離れてしまう。

ヴァンサンとジュヌヴィエーヴの喪失感は、計り知れないものです。 胸をギュッと鷲づかみされるような。もうこの先、明るい未来なんて二度とやってこ ないじゃないかと思うほど、とても一日が長くて。
2人を包み込んだ哀しみは厚い殻に覆われ、どんなに足掻いても抜け出せない。
ジュヌヴィエーヴの書いた日記からは、ぐちゃぐちゃに入り乱れた心が、そのまま伝 わってきます。

15年ぶりの再会。遺されたわずかな時間。その短い間で離れていた心がぐっと近 づく。静かに、穏やかに流れる時間の中で迎える最期。 哀しみを克服し、再び理解しあえたのに、なんだか切ない。15年も経たないとわか りあえなかったのか。もっと早くに再会できなかったのか。 だけど、時間が必要だったのですよね。
感情の描き方がとても細やかなので、登場人物の内側に入り込むことができた。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[恋愛小説]


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