クジラの歌 | 白いクジラ―クジラの歌 |
クジラの歌 世界の果ての氷 |
『クジラの歌』3部作第1作です。
海のように果てしなく広がる紺碧の空、アホウドリのように風をはらんで飛ぶ白雲、波間の光。
こんな美しい風景が辺り一面に広がり、水面で動き回っている様子がとっても楽しそう。
どこまでも続く広大な海を、一緒に泳いでいるような気分になります。
クジラの視点で書かれた本なので、クジラからみた人間はどのように映っているの
かということもわかります。
主人公であるフルナは長老のクジラからたくさんのことを教わる。
風と潮のこと、仔育てにいちばん安全な海のこと、防御のしかたのこと。
人間たちに殺された祖先の話。クジラの神話や伝説の数々。
クジラにはクジラの生活、世界があるのですね。長老のクジラが語ることは
神秘的であり、なるほどと思うことがいっぱい。
青年になったフルナは巡航の旅にでるのですが、その先には、ある試練が待ち受けています。
まだまだ色んなことが起こりそう。
人間と同じように海の生き物たちも何かを感じ、笑ったり泣いたりします。
ここには、フルナのたくさんの経験と感動が詰まっています。
彼女であるローテが、フラレカナという仔を産む所で物語は終わります。
これからの展開が楽しみです。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[壮大なスケール]/
[動物]/
[山岳・海洋・航空小説]
『クジラの歌』3部作第2作です。
フルナとローテの間に生まれた真っ白な仔クジラのフラレカナ。
今回はこのフラレカナを主人公に物語は始まります。
フラレカナな不思議な幻影をみることができます。その光景はどれもぞっとするような恐ろしいものばかり。ずっと先の未来を暗示するかのようです。
海を汚す人間や、滅ぼそうとする人間たち。
石油流出で海面は暗くなり、黒く染まっていく。海が汚れてると、こんなにもたくさんの生き物たちが苦しむことになるのですね。
体がねばねばして、ヒリヒリ痛んだり、悪臭もひどい。
窒息しそうになったり、肺が焼けそうになったりしている姿に、息がつまりそうになりました。
そんな中、苦しんでいる生き物たちの手当てをする人間が現れた時には、心から安心しました。
クジラを滅ぼそうとする人間がいるいっぽうで、クジラを救おうとする人間もいる。
マークという名のその人間は、フラレカナをある場所から救出する。その後、2人は友達になり、言葉を交わすように
なるのですが、その会話がなんとも不思議。言葉はわからなくても、頭に思い描いた絵が、お互いに通じ合い、浮かび上がってくるのだ。
マークの乗る船に仕掛けられた爆弾を発見したフラレカナ。爆弾をはずそうとするのだけど、瀕死の重傷を負ってしまう。
傷ついたフラレカナはどうなってしまうのか。
まだまだ色んなことが起こりそうで目が離せません。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[壮大なスケール]/
[動物]/
[山岳・海洋・航空小説]
『クジラの歌』3部作第3作です。
重傷を負ったフラレカナは、海中の洞窟に横たわっている時、不思議な幻影、光、声を聞きます。
これから始まろうとしていること、しなければならないことを、光のクジラが伝えます。
どれくらい地底に留まっていたのかはわかりません。長い長いトンネルを抜け、ようやく海面にたどり着いた時、傷は消えかけていました。
石油流出により、クジラ達の食べ物はすっかりなくなってしまう。
餌場を求め、群れは世界の果ての氷まで旅にでます。
そこに待ち受けていたのは、人間たちのたくさんの密漁船団、長い網の罠なのでした。
だが、お腹を空かせた群れは、進まなければならない。
氷棚の下の長い長い道のりを進んでいく。
息継ぎのため、空気穴をみつけては、空気を吸い込まなければならない。だんだんと老いたクジラや仔クジラが弱っていく。
まだたどり着かないのか、みんな無事に生き残ることができるのか。
ずっとハラハラしながら、私もクジラ達と一緒に旅をしました。
ようやく浮上したそこに広がる世界、クジラ達の元気になった様子に、心からほっ
とした。
その後も、地球のため、海のため、生物のために、フラレカナはあることをします。
それは危険で上手くいかなければ死んでしまうかもしれません。
何度も失敗し、傷だらけになり、血を流している姿に胸がしめつけられます。
絶望し、力が尽き、海底に落ち、また浮かびあがる。真っ暗で孤独で、冷たい海。
決して諦めない姿に涙がこぼれます。
ずっと緊張感が続いたためか、読後もしばらくは、ぼんやりとしてしまいました。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[壮大なスケール]/
[動物]/
[山岳・海洋・航空小説]