白の闇 | |
物語はある男が突然失明することから始まる。
視界が真っ白になる病気。
次々と周囲に伝染し、広まった。
原因がわからないまま政府は、失明した人々を隔離した。みえないことで失われる
秩序。電気やガスは止まり、街も人間も汚れ、崩壊した社会。
人は極限まで追い詰められるとどうなるのか。
食べ物の奪い合い。欲望をあらわ
にする者。人間の嫌な部分、醜い部分が露出される。残酷で無情な人たち。
繰り返される暴力描写。
悲惨な状況が恐ろしく途中で何度も読むのをやめようと思った。でもどこかに救
いがあるのではないかと願ってしまう。この状態がずっと続くわけがないと。
そんな中、状況を改善しようとする人たち、理性を失わず必死に立ち向かおうとす る人たち。私だったらどうするかと考えてしまう。きっとこの人たちのようにはで きない。人間の本当の力強さが伝わる。
みえない人々の集まる中でただ1人みえる女性。
目にみえてしまう悲惨な状況、みえることを悟られないようにすること。
悟られないようにしながら、周囲の人の手助けをする崇高な精神。
色々なことを考えさせられるお話だ。私の中では忘れられない本になりそう。
→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[世界の終末]