悲しみよこんにちは | |
高校生のセシルは、夏休みに父と2人で別荘で過ごしていた。
そこへ亡き母の友人であるアンヌが訪れる。父とアンヌが結婚するとつげられた時、父が遠くなったように感じる。
2人が自分の届くことのできないところにいるのだと感じる。
そう思いながらも、ものわかりのいい子供のように振る。
大人をみる視点は冷静で鋭敏です。
セシルの感覚はとっても繊細で、自分でもどうしようもない、複雑怪奇な感情がいりまじっている。
10代の頃というのは、こういう二面性を持っていて、自分でも何をどうしたいのか、
何が嫌なのか、自分というものがわからないのだと思います。
ほっといてほしいけど、本当に無関心になられると、どこか寂しい。
だからといって、干渉されるのも嫌。とても難しい年頃なのだ。
心の声がたくさん溢れているこの本は、言葉にできなかった思春期の頃のもやもやした気持ちがたくさん詰まっている。
国や状況は違えど、そういう部分はみんな一緒なのかなと思った。
すごく昔の本なので、独特の言葉や言い回しが新鮮です。どこまでも広がる語彙の豊富さにも、うっとりしてしまう。
精妙に突き詰めた自分の心理の描き方には圧倒されます。
アンヌは正しいことばかりいうけれど、こんな風になんでも正しいほうに向けようと監視されてたら息苦しくなるだろうなぁ。
もっともらしいことを言われると、どうしようもなく反発したくなる気持ちはすごくよくわかります。
人に動かされているみたいで窮屈に感じるんだろうなぁ。
自分で考えて納得してから動きたい、そういう自我が強く出ていた年頃だったんだなということを改めて思い出します。
結婚を妨害しようとするセシル。その残酷さから生じた悲しみ――セシルはずっとこの悲しみを背負って生きて行くのでしょう。
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