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レベッカ・ブラウン作品

体の贈り物

体の贈り物/レベッカ・ブラウン 著


11の短編からなっています。
主人公の「私」はホームケアワーカー。 末期のエイズ患者の身の回りのお世話(掃除・洗濯・料理・入浴・話相手など)をしています。
死が身近にあるというのに、決して暗く絶望的ではなく、淡々と語られている。
まっすぐに患者をみつめる「私」の視線は、同情や哀れみなどはなく、優しさと思いやりに溢れている。
人と人とのつながり、暖かさ、愛情は、言葉や感情表現がなくても伝わる。この本にはそんな小さな幸せ、愛情がたっぷり詰まっています。

特に印象的だったのがコニーの話。
不自由な体でも、自分でできることはしようとする患者コニー。
「私」は、その動作ががどんなにぎこちなくても、時間がかかっても、1人でやりたいと言うコニーの気持ちを尊重します。 コニーに気まずい思いをさせないように、表情、動作、声の感じ、様々なことに気を配ります。
食事はコニーにとって、今も1人でできる数少ない営みの1つ。
体が思うようにいかないコニーをみて大丈夫ですか、手伝いましょうかと言いたいのをグッとこらえている「私」
上手く飲み込めたのか、シロップをこぼさずかけることができたのか、 直接みたりはせず、目の端でそれとなくうかがいます。

コニーにとっては、食べることも日常の習慣ではなく、生きるということ、明日への活力につながるものだったのではないでしょうか。
患者の一人一人がしっかりと生きている姿、短い今を生きている姿が静かに語られています。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]


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