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コーマック・マッカーシー作品

ザ・ロード

ザ・ロード/コーマック・マッカーシー 著


破滅した世界、灰に覆われ荒れ果てた地、すべてが絶滅し生き残った人々。
寒さと飢えに苦しむ父と子は、ひたすら南へ進む。
無人となった廃墟に食べ物を求め漁り、衣服や毛布を持ち出し、寒さをしのぐ。

この崩壊した世界では、生き延びるためというよりも、生き残ってしまったため、い つくるかわからない死というものに向かって今を生きている印象。
生きているから今日も歩き続ける。明日はどうなっているのかわからない。 すぐそこまで来ている死を感じながら、この瞬間を生き続けるのだ。
不安と恐怖と激しい疲労、そういうものがどっしりと伝わってきて、こちらも息がつま りそうになる。

短く交わされる親子の会話。そこには、相手を想い、優しく気づかう様子が伝わっ てくる。眠っている子供をみつめる視線、痩せ細った子供の身体をみて涙が込み 上げてくる場面が胸にジーンと響きます。
子供もまた、自分だけにくれるわずかな食糧を父に勧める。お父さんももっと食べ て……
道すがら出会う人にも、食べ物を分け与えようとする子供。どこまでも純真無垢な のだ。
こんな子供に拳銃の使い方を教え、自分の身を守るためことを伝えなきゃいけな い父親の葛藤。自分がもしもいなくなった後も、南へ進まなきゃいけない、諦めち ゃいけないと語る父親。
希望のない世界の終わり。死に向かってまっすぐ歩き続ける一本の道。重く哀しい けれど、静かな希望と愛情を感じた。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[詩的な小説][世界の終末]


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