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ジョン・ゴールズワージー作品

人生の小春日和 リンゴの木

人生の小春日和/ジョン・ゴールズワージー 著


楡の葉や雑木林の若木が明るい陽射しきらめくのや、水面に広がった睡蓮の葉がつややかに光るのを愛で、麦畑の銀色のつぼみを眺め、ムクドリやヒバリのさえずりに耳を傾け、草を食むオルダーニー種の雌牛が房のある尻尾をゆっくりとはじく音を聞く。
こんな美しさを感じながら、85歳になるジョリオンは息子夫婦と孫と暮らしています。
たくさんの美しいものを愛しく感じられるのは、自分にはもうあまり時間は残されていないと、どこかで感じているから。

散歩の途中、美しい女性アイリーンに出会い恋をします。
心に傷を抱える彼女。悲しい顔をする彼女。
勇気付けてあげたい。大切にしたい。元気になって欲しい。 彼女といることで自分はどんどん若返っていく。心が浮き立つ。

そんな心とは裏腹に身体のほうは……もっと楽に呼吸ができたらいいのに。 身体がこんなに重くなければ……
そんな心の内がわかっているだけに、老年を迎えた人に、お体に障りますとか、静かに過ごされたほうがいいと思いますとか言われてしまうのは切ない。
長く生きた時間の経過に思いを馳せ、この世界のきらめきを一身に感じ、彼女に身を焦がすジョリオン。
いつか終わりがやってくる。人生は長いようで短い。儚い、けれど美しい。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[恋愛小説]
→テーマ別[詩的な小説][美しい風景描写]


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リンゴの木/ジョン・ゴールズワージー 著


銀婚式の日に妻と英国南西部の田園を車で旅する上流階級出身のアシャーストは、途中あ る村に立ち寄る。そこは26年前、彼が村娘ミーガンと恋に落ちた場所だった。当時は駆け 落ちまで企てながら、結局身分差を理由に彼女の元から逃げ去ったのだった…。甘い感傷 で彼女との思い出に浸る彼は、地元の農民から、かつて自分が行った無慈悲な行為の結末 を初めて知らされる…。ノーベル文学賞作家による名作。 (裏表紙より)

美しい風景描写が魅力的。空がぐっと身近に感じられ、花の匂いや木々の息吹が伝わって きそうなこういう本が、私は大好きです。こんなロマンチックな空間を舞台に、ミーガン とアシャーストは恋に落ちます。

一瞬にして激しく燃え上がる恋。リンゴの木の下でお互いの想いを伝いあい、愛を交わす 2人。もう一時も離れられない。彼女のいない人生なんて考えられない。すべてが愛おし く、守ってあげたいと思った。
そう、確かにこの瞬間アシャスートは恋していたのだ。次の日に、ステラに出会うまでは。

きまぐれな気持ちは若さゆえのものなのでしょう。ステラと出会い、冷静になり、はたと 気づく。ミーガンとの出来事は、つかの間の夢のように儚く消え去ってしまう。
彼の気持ちが2人の間で揺れる様子、歓びに胸を浸し、哀しみに暮れ、移ろいゆく姿が実 によく描かれています。
この作品に流れる雰囲気はとても美しく、いつまでも余韻が残ります。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[恋愛小説]
→テーマ別[詩的な小説][美しい風景描写]


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