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ジーン・C・ジョージ作品

ぼくだけの山の家

ぼくだけの山の家/ジーン・C・ジョージ 著


自分ひとりの力でやれる―ニューヨークの家を出て、少年サムがむかったのは、キャッツ キル山脈の深い森。大木のうろをすみかとし、ハヤブサ「フライトフル」とともに一年間 をすごします。すべてを自分で考え、つくり、解決してゆくサム。やがて、自然とは、そ して自分とはなにか、ということに気がつきはじめます。アメリカでよみつがれてきた名 作、50年目の初邦訳。小学校高学年から。 (「BOOK」データベースより)

子供の頃、秘密基地、隠れ家など、自分だけの家が欲しいと夢みていた。この本の主人公 サムは、それを見事にやってのける。事前に書物から植物・動物の生態などの知識を得て、 ペンナイフ、火打ち石、斧などを持ち、森へ向かう。釣り針の作り方や、食べれる植物の 見分け方、狩猟などサバイバルに必要な知恵がいっぱいです。巻末には「この本に出てく る森の生きものたち」が絵と共に紹介されています。

すごいのは森の豊かな自然描写。動物たちが生き生きと飛び回る様子は目に見えるようだ し、冬に備えて食糧を忙しく探し回ったり、吹雪の前のざわめきなど細部まで丁寧に描か れています。時には少年の住む木の家に、食べ物を漁りにきたり、帰ったらベッドにアラ イグマが寝ていたりすることも。また森には、道に迷い込んだ人や、ピクニックに来る人、 苺摘みに来たおばあさんなどが、突然ヌッと現れるのがおもしろい。

秋、ポプラの葉が黄色に色づく。冬の前に訪れる短い秋は、木々の彩りが豊かなだけでな く、空気や風の冷たさもガラリと変わる。巣ごもり時期が近づいている予感を感じながら、 めいっぱい森じゅうをかけめぐる動物たち。南下の準備をする鳥たち。森は四季の移ろい をいち早く感じられる場所だと思う。

冬、慌ててたきぎを集める。煙突付きの暖炉が出来上がり、シカ皮の毛布で温まる。そし て厳冬期。木々が凍りつき破裂するシーンが忘れられない。風がうなる音、枝がこすれる 音、まさに自分が自然の中にいるような気がして身がすくむ。

私がやりたかったことを叶えてくれる充足感たっぷりの本。サムと一緒にワクワクしなが ら冒険できた。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[児童文学・絵本]
→テーマ別[美しい風景描写][サバイバル]


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