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メルヴィン・バージェス作品

メイの天使

メイの天使/メルヴィン・バージェス 著


廃屋の暖炉を抜けて灯火管制下のイギリスへ少年は跳んだ。見知らぬ世界で味わう苦難と孤独。なにより戦災孤児の少女メイとの忘れられない三日間が始まる。ある少年の心の成長を見つめる痛くて、切ない珠玉の物語。 (「BOOK」データベースより)

どこをみているのかわからない虚ろな瞳、死んだように動かずうずくまる姿、その姿はあまりにも異様で、人を怖がらせてしまう。でも、メイの生い立ちを知ったなら、誰でもメイが好きになり、守りたい、こんな少女だからこそ愛情で包んであげたいと思うはず。

サム・ナッターは、メイを施設から引き取ることにした。無骨だけれど愛情深い優しい農夫です。彼の存在がメイにとって、光であり救いであったと思う。なのに、やっと元気を取り戻したというのにあんな哀しい出来事が起こるなんて。

少年タムも鬱屈とした思いを抱えていて、50年の時を超えメイと出逢ってしまう。たった3日間だけの濃密な時間。心の交流。少年は大きく成長し、メイもまた大きく変わる。

すでに過ぎてしまった膨大な時間に絶望が襲いかかる。過去を取り戻したいと切に願う。だけど、過去には目を向けず、未来へ向けて今を形作っていくことの大切さを著者は訴えている。

メイにとっての人生は、サム・ナッターに出逢うことにより光が射し、タムに出逢うことで止まっていた時間が動き出したのだと思う。
メイがどれほど待ち焦がれていたことか、どれほど孤独で寂しかったか、メイの心情を想うと遣りきれない。すべての謎が解けた時には、メイが心の中に棲みついていた。メイが忘れられない存在となった。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[児童文学・絵本]
→テーマ別[タイムトラベル]


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