ヒヤシンス・ブルーの少女 | |
1枚のフェルメール作と思われる名画と、それにまつわる人々を描いた物語です。 8つの短編になっていて、現在の所有者から始まり、前の所有者へ、だんだんと過 去に辿っていき、最後は絵に描かれた少女が登場します。
青いスモックを着て、純真な表情で窓の外を眺めている少女。青い瞳、光沢のある肌。
この少女をどのような気持ちで眺めているのか、それぞれの時代に生きた人達の思
い、情熱、日々の営みの様子が伝わってきます。
ある人は、初恋の人を思い、ある人は憧れの眼差しで眺め、ある人は、貧しいながらも、美しいものを愛し、側に置き、心の拠り所としています。
そして、絵を手放さなければならなくなった時の気持ちも丁寧に描かれています。
1枚の絵がもたらす影響は、手放した後でも、きっと人々の心に何かを残していっ
たのでしょう。
章を辿るごとに、少女がどんな人物なのか、どのような経緯で絵が書かれたのか、想像せずにはいられません。
絵を愛する気持ち、美しいものを側に置いておきたい気持ちが伝わってきた。
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