至福の味 | |
主人公は高名な料理評論家。死の床につきながら、「あの味」を思い出そうとしている。
食べたことがあるのに思い出せない。記憶の底に埋もれ、忘れてしまった味とは何なのか。
1章ごとに、彼をとりまく人々が交互に登場します。
家族や友人だったり、猫や書斎の彫刻までもが語っている。
そこから浮かび上がってくる彼の人となりは、どうやら不評のようです。家族に愛情はなく、周りには冷たい。
どんなに有名になっても、お金持ちになっても失ったものは大きい。
記憶を辿り、今まで食べてきた、たくさんの美食を回想していく。
刺身や、ウイスキー、トーストなどたくさんの料理が登場しますが、その描写の美しいこと。
素晴らしい絵画をみている時のような、軽やかな音楽を聴いている時のような、心地良い風が流れているような感覚。
ゆっくりと味わいながら読みました。
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→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[食べ物]