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アレッサンドロ・バリッコ作品

海の上のピアニスト

海の上のピアニスト/アレッサンドロ・バリッコ 著


海の上で生まれ、一度も船を降りたことのなかった天才ピアニストの伝説。
彼が弾くのは、いまだかつてこの世に存在せず、ひとたび彼がピアノから離れる と、もうどこにも存在しない音楽だった。(裏表紙より)

彼はある日、陸に降りる決意をするのだが、どうしても降りることができない。 たくさんの道があるから。広大な世界がどこまでも続いているから。 その果てしなさを思い、足が止まってしまったのだ。
なぜ降りることができなかったのか。彼が、友達に語った言葉が印象的でした。

普段あまり意識していないけれど、私達はとても広大な場所にいて、たくさんの道 を選択しながら生きて来た、ということ。
その世界の大きさに気づくこともなく、正しい道を選んで来たわけでもないというこ と。
そういうことを、ふと意識したのです。

船には、世界中のたくさんの人達が集まる。その人達の目の中から、話から、行っ たことのない場所の空気を嗅ぎ、音や匂いを感じる不思議な能力を持つ彼。
船の中だけで、たくさんの旅をし、彼の中だけに広がる大きな地図。
もしも、地上に降りてしまったら、美しい音色は失われてしまうと思うのです。
ラストは、ちょっと物悲しい気がしたけれど、キレイな音色が響いてくるような素敵 なお話でした。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[山岳・海洋・航空小説]


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