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アナイス・ニン作品

小鳥たち

小鳥たち/アナイス・ニン 著


13編からなるエロティックな短編集です。
エロティックとはいっても、淫らで下品なものとは違います。上品で優雅、幻想的な のです。美しく並べられた言葉の数々は、想像を掻き立て、胸を高鳴らせます。

その中でも好きなのは、『砂丘の女』と『マハ』
『砂丘の女』は、ルイが砂丘に行って、1人の女性に出会うのですが、海のほうま で来てしまうと、女性はぱっと衣服を脱ぎ捨て波に飛び込む。 泳ぎ回った後2人は身体を交わせるのですが、その様子がちっともいやらしくなく 自然な感じなのです。
その後、女性がルイに語ることにはびっくり。絞首刑を目撃するのですが、その最 中群集にまみれて、後ろから自分のモノを押し付ける男。目の前では処刑が行わ れながら、後ろには達した後の男のあたたかいものが……という話。
目の前で起こっていることは、残酷で怖ろしいのに、のぼせ上がるような不思議な 高揚感。

『マハ』は、画家である夫が、思い通りに描かせてくれない妻に不満を持ち、寝て いる妻をスケッチする話。触れようとはせず、ひたすら欲望を抑えているところにド キドキする。できあがった絵は、はたしてどんな絵だったのか。みえないだけに想 像が膨らみます。

現実的で生々しい男女の性ではなく、遠い異国の人たちの寝室を、うっすらとした 霧の中から覗き見しているような気分。
息もたえだえに求め合う様子には、性へのエネルギーが満ち溢れています。 しっとりと漂うそれは、抑圧されたものをじわじわと引き出してくれる。
どこまでも貪欲に、心も身体も開放的に。野生的なその姿は、くらくらしてしまうほ ど刺激的なのでした。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[エロティック]


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