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アンソロジー(海外)

『ミステリアス・クリスマス』 ロバート・スウィンデルズ 他
『メグ・アウル ミステリアス・クリスマス2』 ギャリー・キルワース 他
『クリスマス物語集』 中村妙子 (編集, 翻訳)

『ミステリアス・クリスマス』 ロバート・スウィンデルズ 他


深い霧におおわれた高速道。家出少年ビリーがヒッチハイクしたそのトラックには、不気 味な男が…。ほんの悪ふざけで唱えた魔の呪文。恐ろしい結末が兄弟を待っていた。観る たびに変化しつづける怪しげな絵画や呪われた人形の話など、イギリスの人気作家7人が 綴る恐怖と幻想の物語。「クリスマスにゴーストストーリーを」というイギリスの慣習に 基づき語られる。(「BOOK」データベースより)

クリスマス物語といっても心温まるような優しいお話ではない。ぞっとするような寒気が 襲ってくるような恐怖の物語なのです。幽霊が出てくるもの、幻想的なもの、奇妙な人や いじわるな人などが登場し、どの作品も違った趣向のものばかり。読み終わった後、賑や かなはずのクリスマスツリーが妖しく思えてきて、心に冷たい風が通り過ぎていったかの ようです。

オーブンでこんがり焼いた七面鳥や、一緒に添えられたマッシュポテト、クリスマスらし い食べ物が美味しそうでそそられます。その中でも不思議な食べ物がいくつか。クリスマ ス・プディングとミンスパイとは、いったいどんな食べ物なんでしょう。すごく気になっ てしまいました。

7つの作品の中で好きなのが、『切ってやろうか?』です。
家出した少年がヒッチハイクで家に帰ろうとするのだけど、乗せてもらったトラックの男 が不気味なのです。話をすればするほど、身の危険を感じ、降りたいのだけどいいだせな い。少年の緊張が、心臓の音までもが伝わってきそうな凍りつくお話です。

ここに出てくるイギリスのクリスマスの風景は、重く暗い印象です。暖炉に揺れる炎、そ れを囲むようにひっそりと会話する人達。邪悪な心を持った者は、悪霊にとりつかれたり、 魔女が災いをもたらしたりしそうな、そんな雰囲気の作品です。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[クリスマス][幽霊]


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『メグ・アウル ミステリアス・クリスマス2』 ギャリー・キルワース 他


「クリスマスにゴースト・ストーリーを」というイギリスの慣習に基づき、聖夜を背景に 語られる奇怪な物語。フクロウと魔女とハロウィーンをテーマにした表題作ほか全5編を 収録する。99年刊の続編。(「MARC」データベースより)

霧に包まれた暗い闇、ちっとも部屋が暖まらない凍えそうな夜、妖しい物音に怯える一人 きりの留守番、荒れ野で過ごす長い夜。イギリスの慣習や、家庭でのクリスマスの様子も 窺える雰囲気たっぷりの作品です。

悪霊を呼び寄せてしまったのは、自分自身の弱さから。邪悪な心から。
突然迷い込んでしまったのではなく、波長が通じてしまったから。
そんな幽霊の存在は、日本の怪談物とは異なり、必然性すら感じさせる存在感を放ってい ます。

5つの作品の中で好きなのが、『荒れ野を越えて』です。
舞台は1924年の炭坑地帯。底冷えのする寒さと、シーンと張り詰めた空気。夜が明けるま での時間はとてつもなく長く、連続した緊張感が続く。恐怖を抱え、身を寄せ合ったあの 夜は、とても印象的なのでした。

イギリスのクリスマスは、家族が一堂に集まるイベントです。日本のように一日だけでは 終わらず、クリスマス休暇というのが数日あるそうです。
プレゼントに、ツリーの飾りつけ、ケーキなど、クリスマスは、早くから大忙しだ。家族 一丸となって準備を進める様子は、浮き足立っていてこちらもワクワクしてしまう。
暖かい部屋でゆったりと読んで欲しい素敵な一冊です。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[クリスマス][幽霊]


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『クリスマス物語集』 中村妙子 (編集, 翻訳)


この本は世界各地で読みつがれているクリスマスの物語を集めた作品です。14編の短編からなっていて、とても有名でどこかで聞いたことのある物語もいくつかありました。都会の華やかなクリスマスとは違い、ここに出てくるのは家族で過ごす素朴でささやかなクリスマスばかりです。

クリスマスツリーがなくても、クリスマスの豪華なご馳走がなくても、慎ましく何もないところから生まれる愛もある。大切な人と語り合い、笑いがいっぱい溢れていて優しい優しいクリスマスはとても心温まります。

たくさんある中でも一番好きなのが、『ある農家のクリスマス』
ある小さな男の子が知り合いのおじさんの家でクリスマスを過ごすことになりました。車も電話も、電燈も何もない貧しい家だったけど、手に入るものだけで精一杯やっていこうという気構えがいたるところに溢れているような家。何より自分を歓迎してくれて、思いやりのある善良な人たちと過ごす時間は心地よいものです。

私たちは、贅沢なものや便利なものをつい求めてしまうけれど、「心」はいつの時代も変わらないものです。「心」に灯りをともすことができたならば、きっと他人にも優しくなれる。幸せを分け与えてあげることができるのではないでしょうか。

→著者別[海外小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[クリスマス]


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