ポプラの秋 | |
小さな心と体で一生懸命、父の死を理解し受け止めようとする姿がけなげでもあり、痛々しくもあります。 最初はおばあちゃんのことを怖がっていたのに、だんだん打ち解けてくる様子がよく描かれています。
このおばあちゃん、とっても魅力的なんです。
千秋に優しい言葉をかけるでもなく、憎まれ口ばかり。
でもユーモアがあって一緒にいると、肩の力を抜いて自然体でいられる。
千秋の傷に触れるでもなく、遠くから見守ってるのですね。重くならず、さりげ
ない一言で千秋の心を解してくれるのだ。
父に手紙を書き続ける千秋。そうすることで自分の中で収拾のつかない怖さや不 安を静めていったのでしょう。受け止められない重みを吐き出すことで、自分を取り 戻していったのだと思います。
18年後、おばあさんの葬式に集まるたくさんの人達。
おばあさんを慕う人がこんなにいたのですね。
ちっとも悲しくなくて、和やかで懐かしい雰囲気の葬式がいい。
見送る人々の柔らかく暖かな視線が目に浮かぶようです。