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山本一力作品

いっぽん桜

いっぽん桜/山本一力 著


仕事ひと筋で、娘に構ってやれずにきた。せめて嫁ぐまでの数年、娘と存分に花見がした い。ひそかな願いを込めて庭に植えた一本の桜はしかし、毎年咲く桜ではなかった。そこ へ突然訪れた、早すぎる「定年」…。陽春の光そそぐ桜、土佐湾の風に揺れる萩、立春の いまだ冷たい空気に佇むすいかずら、まっすぐな真夏の光のもとで咲き誇るあさがお。花 にあふれる人情を託した四つの物語。(「BOOK」データベースより)

暮らしの中に花はあった。
「桜」「萩」「すいかずら」「あさがお」四季折々の中に咲く花々は、私達を和ませてく れるし、気持ちを潤わせてもくれます。雨に濡れ、風に吹かれ、眩しい光の中に佇む花た ち。そこに込められた想いや、人々の優しさは心にほっかりとした余韻を残す。

一番好きなのは表題作である『いっぽん桜』
井筒屋の頭取番頭だった長兵衛に突然言い渡された引退話。戸惑う長兵衛には、ねぎらい の宴も素直に受け取れず、家族に伝えることもできない。新しくついた職でも、プライド が邪魔をし、若い衆たちとも上手くいかない。

長年勤め上げた職に未練を捨てきれない心情や、頭取番頭だったという自負は、長兵衛を かたくなにさせている。そこから抜け出し上手く折り合いをつけていくのは大変なんだな ぁと思った。思わぬ人情に触れ、心がほぐされていくラストが見事。長兵衛の心の揺らぎ が丁寧に描かれていて共感を誘います。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[歴史・時代小説]
→テーマ別[モチーフ]


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