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山田宗樹作品

死者の鼓動

死者の鼓動/山田宗樹 著


医師の神崎秀一郎の娘で、重い心筋症をわずらった玲香に、脳死と判定された少女・社洋 子の心臓が移植される。その後、手術関係者の間で不審な死が相次ぎ、秀一郎に社洋子と 名乗る者から電話がかかってくる。電話の相手は誰なのか、そしてその目的は―。臓器移 植という難問に果敢に挑戦する人々の葛藤と奮闘を描いた医療ヒューマンミステリ。 (「BOOK」データベースより)

臓器が抜き取られ人工的な死を迎える洋子。その直後、摘出された心臓で生き延びること ができた玲香。臓器を待ち望むレシピエント側の気持ちは迫真に満ちています。玲香はあ と何日生きられるかわからない。洋子が脳死判定と下される前に尽きてしまうかもしれな い。一日でも早く・・・あの子が死んでくれたら・・・絶望の淵に立たされた家族の逼迫感が胸 に押し寄せてきます。

一方、娘が脳死と判定されすぐに真実を受け入れられない母・奈緒子。コーディネーター のさやかに放った叫びはグサリと心に突き刺ささります。
当事者にしか分かり得ない迷い・葛藤、そういったものが側で見て聞いているみたいにズ シンと響きます。

コーディネーターの仕事は知っていたけれど、摘出後のドナーの心のケアまでするなんて 知らなかった。感情的な言葉を投げつける人にどのように接していくか、どんな気構えで 仕事に臨んでいるのか、あまり馴染みのなかったコーディネーターという仕事が垣間見れ て勉強になります。

「正しい答をもつことよりも、常に問い続けることのほうが、大切な気がする。絶対に正 しいことなんか、なにひとつないのだから」という一文が印象的です。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[医療サスペンス]


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