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杉みき子作品

小さな雪の町の物語 小さな町の風景

小さな雪の町の物語/杉みき子 著


新潟県高田市(現在・上越市)を舞台にした雪に関する15の短編集です。
一つ一つのお話はとても短く小さなものだけど、著者の故郷に対する優しい眼差しが感じ られる。その土地に根ざし、慈しみ、自分の原点ともなった故郷。生まれた町が自分を形 作り、大きな支えのような存在になっていく。

著者にとって、故郷とは切っても切り離せない関係であり、旅に出ても、他の土地で暮ら したとしても、ずっと心の中に息づいているのだろうなぁと思いました。

雪国に暮らす人々の暮らしは決して楽ではない。手がかじかみ、頬がひりつき、耳がちぎ れそうなほどの厳しい寒さ。雪に閉ざされた景色は、いつもの見慣れた道をガラリと変え る。

印象的だったのは、吹雪に巻き込まれた時の恐怖を描いた『小さな旅』、激しい風の中で道 に迷う少女を描いた『風と少女』
激しい風は今にも少女を吹き飛ばしてしまいそうだし、雪に覆われた視界は、脅威であり、 徐々に打ちのめされていく少年の心がダイレクトに伝わる。

自分の町を愛する人がいて、一人で暮らすよりも、この家を離れることのほうがもっと寂 しいという人がいて、毎朝、道つけを欠かさないおばあちゃんがいて……
この土地の大地を踏みしめ、ささやかな暮らしを贈る人々の物語は、不思議と懐かしい気 分にさせてくれる。故郷という大きな懐に抱きしめられているような、安らぎと暖かさが あるのです。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[児童文学・絵本]
→テーマ別[モチーフ]


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小さな町の風景/杉みき子 著


作者が生まれた町、そして愛してやまない町、新潟県の高田をモデルにした作品集です。「坂のある風景」から「海のある風景」まで8章、合わせて45編の物語と小品。「乳母車」「あの坂をのぼれば」「月夜のバス」「風船売りのお祭り」など、教科書関連図書にも登場する渋い宝石箱のような一冊です。赤い鳥文学賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

坂・橋・海など著者の生まれた町をモデルに描いた作品なのだけど、懐かしさが沸いてくる。それはたぶん誰の心にも持っている小さな頃にみた町の風景と重なるから。

小さな自分には、町が大きくみえた。何気ないことに思いを馳せゆっくりと立ち止まる時間が十分にあった。何の変哲もない風景がキラリと輝く一瞬が確かにあった。ずっとずっと遠くに行きたかった。無力だったからこそ、大人になったらこうなりたいという希望をたくさん持っていた。この本の中には、忘れ難いささやかな幸せがギュッと詰まっている。

ひとつひとつの物語はとても短く地味なのだけど、じんわりと暖めてくれる。そして読み終わる頃には町という存在が恋しく思えた。
もう置いてきてしまった遠い過去だと思っていたけれど、あの町の風景は確かに自分の中に息づいているのだ。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[児童文学・絵本]


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