漢方小説 | |
みのりを襲った突然の身体の不調。ロデオマシーンのように身体が痙攣する。救
急車が近づいてくるという、緊迫した状況から物語は始まります。
診断の結果は異常なし、その後3つの病院でも異常なし。そして5つめにたどり
着いたのが、漢方診療所。若くてカッコいい坂口先生に恋心を抱きつつ、漢方に
はまっていく。
どこかおかしいとわかっているのに、どこにいっても気づいてもらえないのは悲し
い。簡単にストレスなんじゃないかとか言われてしまうのも悲しい。
元彼が結婚するって聞いて、ショックを受けてるなんて、言えない気持ちもよくわ
かります。悩みは切実ですが、重くならず軽妙にユーモアをまじえて語られています。
ストレスって、誰もが抱えるもの。自分が思った以上にダメージを受けているの
に、気づかなかったり、無意識のうちにみないようにしている。
精神科や心療内科は、何か別世界のようで近寄りがたいもの。
それに何かに頼るのはいけない、自分だけでの力でなんとかしなきゃと思っている
人は多いのではないでしょうか。
診療所を訪れたみのりは、はっきりとした病名を与えられないことに不安を覚える。
なんの病気なのかと、訴えかけるみのりに詳しく説明した後、「色々なところが弱
いというあなただけの病気」という坂口先生に好感が持てた。
こういう先生がいたら安心して診てもらえますね。
みのりが、ゆっくりと快方に向かっていく姿に私も癒された。漢方のようにじわじ わと、私の深いところを癒してくれているような。優しくなでられているような、 そんなお話。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[モチーフ]