れんげ野原のまんなかで | |
ススキ野原のおいしげる中に秋庭市立秋葉図書館はあった。辺鄙な場所からか利用者は少
ない。レンゲソウを植え、辺り一面が満開になったことから、図書館はれんげ野原のまん
なかになった。
こんな図書館があったらいってみたいなぁ。窓から眺める一面のれんげ畑はキレイだろう
なぁ。ここに流れる時間はとてもゆったりしていて優しい。
そんな図書館で沸き起こるささやかな謎を描いた5つの短編集。
起きる事件は、事件と呼ぶほどでもないちょっとした謎。その背景にある人物の様々な思 いに触れる事ができます。思わず顔がほころでしまうようなお話や、本への思いからやっ てしまったこと、本に対する愛情がどっしりと伝わるようなお話など、素敵なエピソード がいっぱいなのです。
本好きだからこそ、気持ちがすごく理解できて、いけない事とはいえ、私はその人達を責 める気にはなれない。むしろその人達の気持ちと、自分が重なり心がチクンと痛むのだ。 どっしりと重く、ある人物の辛い過去、本に対する想いの強さが伝わってきた第5話が一 番好き。
1冊の本は、人に大きな影響を与えることがある。人生に行き詰まり、すがるように答え
を求め本を選ぶこともある。自分には叶わない願望を主人公に託し、達成されていく姿に
救われることもある。
本好き、図書館好きな人達にぜひ読んで欲しい素敵な作品です。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]
→テーマ別[図書館が舞台/本の本]