あやし | |
江戸を舞台にした9つの短編です。
その時代に生きる人々の人情味溢れる会話、下町の情緒ある暮らしがよく描かれています。
その中に潜む人間の闇・情念・怨念・嫉妬。
それらが強くでると、こんな形で現れたりするんですね。
背後から何かに追われているような気配。誰かにみつめられているような、何か が現れそうな空気を肌で感じるような。背筋がゾクッとするお話です。
ちょっと足元を崩すと、たちまちとりつかれる怖さがある。心に迷いや弱さがある と何かが入り込むような。 はっきりと姿がみえる鬼や霊のようなものもあれば、姿はみえなくても確かにそ こにいる。視線を感じるのだ。
鬼や霊は怖いけれど、人間だって誰かを恨んだり、憎んだり、悪の部分を持っている。もしも、そういう念が目に見え、形がみえ、色として現れたら怖いんだろうなと考えてみる。
成し遂げられなかった想いや、叶えられなかった願い。
怖いだけじゃなく、暖かさもある。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[幽霊]