七つの蕾 | |
この本は、7人の少年少女たちの生き生きとした日常を描いた物語です。まず珍しいのが、 本のカタチ。単行本ということですが、正方形になっていて開くと普通の本よりも横に 長いです。ページの上下にはお花の絵があしらわれていて、可愛い作りとなっています。
ここに登場する少女たちの魅力はなんといっても、清らかで純粋なことです。姉妹や友達
のことを心から心配し、何かあった時には一緒に心を痛め涙する乙女。
焚火を囲み、みんなでワイワイやったり、「オサムライ・ゴッコ」をはじめたり、のびの
びとしていて本当に楽しそう。
そして夢見る空想の数々は、とっても乙女チック。この頃の子供からみると、大人って遠
い存在、つまらない人間にみえてた。なんでもっとみようとしないんだろう、なんで知ろ
うとしないんだろう、なんですべてわかったつもりになってるんだろう、そんな風に思っ
ていた子供時代を思い出します。
空想って、一度膨らむとどこまでも飛躍して、すべて楽しい方へ、夢の世界が出来上がっ
てしまうからやめられない。少女の憧れ、夢みる乙女の姿がここにはあります。
舞台は鎌倉になっているようです。海、山、岩壁などたくさんの自然がでてきます。子供
たちの背景には、満開の桜の霞、夕映え、海からの南風など美しい風景を感じられて、行
ったことのない鎌倉に行ってみたくなりました。
夢中になって遊んでいる時、ふと気づいた夕暮れの美しさ、さらに時間が経過し、空がい
つのまにか暗く怖い色になっているのをみた時の胸のざわめき。黄昏はキレイだけれど、
ちょっぴり切ない。そんな忘れていた気持ちを思い出させてくれる素敵な本です。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[一般小説]
→テーマ別[異国情緒]/
[乙女のための本]