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河崎愛美作品

あなたへ

あなたへ/河崎愛美 著


他校の中学の文化祭で出会った少年に、人目惚れした少女は手紙を送り続ける。 最初から最後まで、その手紙は少年への想いに溢れている。 瑞々しく溢れる想いが、まっすぐに伝わってくる。

どうしようもなく好きになってしまった。 息苦しさをともなって何度となく押し寄せる熱い気持ち。 こんな気持ちが初めての経験ゆえに、そんな自分自身に戸惑ってしまうのでしょ う。
彼のことで頭がいっぱいでどうにかなってしまいそう。 彼を好きになることで、自分の存在を確認しているようにも思います。
誰かに夢中になれる自分がやっと好きになれた。 ずっと孤独だった。親や友達がいても、いつも1人でいるみたいで、居場所がな かった。

きっと少女の心の中は、それまでは空虚感でいっぱいだったのではないでしょう か。明るく振舞っていても、それは無理をしていて本当の自分ではない。周りに いくら人がいても、自分1人だけが違う世界にいるような取り残された気持ちと か、私の中では共感できる部分がたくさんありました。

彼の声があんまりにも優しくて涙が溢れてしまう。
どうしたの。元気だして。こんな一言だけで心の奥の何かが溢れ出してしまう。 乾いていた内面を潤してくれる光のような存在だったのでしょう。

この本を読んで、誰かに恋している時の熱い気持ちを思い出しました。それは、 ずっと昔の恋もあるし、片思いの恋もある。
きっとこの少女も残して置きたかったのですね。記憶を巡らし、側にいなくても 彼を感じていたかったのでしょう。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[恋愛小説]


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