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本多孝好作品

チェーン・ポイズン

チェーン・ポイズン/本多孝好 著


誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生 活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎 の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差 し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた―。新境地を開いた驚愕 のミステリー。 (「BOOK」データベースより)

この小説は常に死という言葉が付きまといます。一年後に自殺することを決め、それを拠 り所に過ごす女性。一年というタイムリミットは刻々と近づいている。この世に未練はな いのか。何か希望を見出すことはできないのか。

一方 服毒自殺をした3人の共通点をみつけ、謎を追っていく週刊誌記者・原田。自殺した 女性の周辺を調べていくが、彼女を知る人々からはなんの手掛りも得られない。だが、人 物像や死に至るまでの心情がだんだんみえてくる。

歯車でしかない自分、諦めの日々、この先の未来もずっとこのまま――この女性の前には 絶望しかない。底のない暗闇を眺めているような閉塞感を感じる。
自分で全て抱え込み、追い詰めてしまう人はたくさんいると思う。そういう人は、嫌われ もしない代わりに好かれもしない。印象が薄く居なくなっても気づかれない。
決して珍しい人物ではないと思う。それが長く続き重症になると、死しかみえなくなるの かと思うと恐ろしくなります。

彼女に足りなかったのは自分を守るのに無頓着だったこと、心の中にあるものを吐き出さ ずに生きてきたことだと思う。だがそれも結果論であって、このままだと自殺すると最初 から自覚している人などいない。
周囲にいた同僚や友達が「一言ぐらい相談してくれても・・・・・・」という言葉と、「仕事の 愚痴は聞いていたけれどそれは日常会話のようなものだった」というセリフのどちらにも 納得してしまう自分がいて色々なことを考え込んでしまうのだ。

→著者別[国内小説]
→ジャンル別[ミステリー・サスペンス]


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