終業式 | |
4人の男女が織り成すかけがえのない日々。高校生だったきらめく時代。
全編が、手紙・FAX・ハガキなどで綴られた物語です。
会話や、説明がないぶん、登場人物の関係性や、さっきの手紙からどのくらいの月
日が経ったのか、その間に何があったのか想像力を働かせて読むのがちょっと大変
だった。
読んでいくうちにだんだんと、登場人物の気持ちやキャラがみえてくるのがおもし
ろい。
ある時は、書きかけてそのままゴミ箱に捨てられてしまったり。 ある時は、受け止められず混乱した心の状態そのままが文面に表れていたりする。 そうして彼らは大人になり、あの頃の事を振り返る。 逢えなくても、ずっと心の奥底にあり、お互い影響しあっているのですね。
高校生だった頃の、文化祭で熱くなったり、授業中の居眠りだったり、テストが
とんでもなく重苦しく、それが終わった後のワァーっと開放された感じとか。
ずっと昔のことだけど、そういえば色々とあったんだなぁと忘れてしまっていた
ことを思い出させてくれる。
もどがしく、まっすぐで、不器用で、あることには単純で、あることにはとても
複雑になったり。でも、当の本人たちは一生懸命だ。
後からこうして振り返って読むと、はちみつのように甘く、でもどこかこそばゆ
く、キュンとなる。少しずつ成長して、いつのまにかこうして大人になっていくんだなぁ。
突然キレイになったあの子や、いつも元気いっぱいにみえるあの子にも、色々あ
るんだなぁと想像してみたりする。
たっぷりのエピソードに、私自身の過ぎ去った日々を想い出し、胸がいっぱいに
なった。