空の中 | |
高度2万メートルで飛行中に起こった爆発事故。 その原因を探るため、春名高巳と武田光稀は、上空へ向かう。 空の中には何があったのか。
巨大な楕円形の未知なる生命体。それは人間よりはるかに知能が優れた存在、感
情という概念を持たない、温厚な生き物だった。人間に攻撃する意思がないこと
がわかり、時間をかけ意思の疎通を図ろうとする。
たどたどしかった言葉が徐々に自然体に近づき、人間の感情を理解していく。
ものすごいスピードでたくさんの語彙を覚えるのだけど、一向に話が進まない。
未知なるものを、畳み掛けるでもなく、意思を尊重し、じっくりと理解しあっていく様
子に感動します。
最後には、気持ちのいいラストを向かえるのですが、その間には衝突や混乱も起こります。
白鯨と呼ばれるその生命体に、衝突して亡くなった遺族である斉木瞬や白川真帆、
瞬の幼馴染の佳江も登場します。
過ちを犯しながらも、後戻りできず、進んでいく瞬。それをみていることしかで
きず、止めることができない自分を後悔し、追いかける佳江。
真帆の間違いを指摘し、正しい方向に導こうとする宮じいの懐の深さ。
友情や恋愛や青春、人間と生物の共存など、たっぷりと色んなものがまぜあわさった読み応えのある作品です。
→著者別[国内小説]
→ジャンル別[SF・ファンタジー・ホラー]
→テーマ別[動物]